Jingooで実現したいこと

以前、ここで書いてるけど、先日リリースしたJingooで考えていることをまとめてみます。
総務省の発表している「平成18年度情報センサス報告書」によれば、この10年で消費可能情報量*1は33倍になったのに対して選択可能情報量*2は530倍になっている。情報の大爆発といっていい状況で、情報の供給が増える一方であることを示しているといえる。
主たる要因はやはりインターネットの出現だと思うけど、登場以降を情報取得のインターフェースという観点で少し整理してみると、
【第1段階】
Webブラウザの登場により、インターネットによりアクセス可能になった情報を、実際に簡単に閲覧できるツールでアクセスできるようになった段階。古くはMosaicで、Netscapeの登場で一気にインターネットのプレゼンスが高まった時期。
【第2段階】
このころはサイトというよりホームページと言ったほうがなじみが深かった気がするけど、増えていくホームページを整理整頓したディレクトリサービスであるYahoo!が大変重宝され、まずはポータルであるYahoo!にアクセスしてから情報を探すという段階。このころはネットサーフィンと言われたりしていて、検索エンジンの精度がそれほど高くなくて、人力で整理した情報をたどるほうが見つけたいものが見つかる程度の情報量だったとも言えたかもしれない。
【第3段階】
そして、Googleの登場。被リンクの価値を評価するというアルゴリズムにより、断然に探しているものが見つかるという検索エンジンで、それ以前の検索エンジンは使えないというイメージを一変させるほどに検索サービスが不可欠になった段階。情報の量が増加する一方であったので、インターネットを使うにあたって検索サービスを使うことも当たり前になった。
というように整理できるのではないかと思う。
実はGoogleの登場以降、情報取得のインターフェースはほとんど進化していなくて、ここ10年近く停滞しているような気がしている。
どちらかといえば、その間にインターネットの利用価値としては情報発信を主体にしたものが大きく発展したのではないかと。ブログやFacebookmixiなどのSNS、動画サービスのYouTubeや最近話題のtwitterなど、いずれもユーザの情報発信のサービスとして成長してきているので。
このような環境がますます情報供給量を増加させるという現象になっているんだけど、取得側のインターフェースの進化が追い付いていないのをなんとかしなければならないでしょう。
情報量がここまで過剰と言うほど多くない間は能動的に人間が行動することで間に合っていたのかもしれないけど、極端なことを言えば、今では過剰な情報の中から必要な情報にアクセスするために、人間が検索窓に検索キーワードを入力させられてるとも言えるのではないかと。
とすれば、こんな風に変えるべきだよなあと。

人間が検索キーワードを入力しなくても、必要な情報にアクセスできるようにするようなインターフェースが必要になっているんじゃないか?というのがJingooの開発の背景。
検索だけでは氷山の一角にしかたどりつけない、あるいは、スキルがないと欲しい情報を見つけられないといったようなことを解消できるようなインターフェースのイメージ。
レコメンドにしても裏側ではある種の検索の仕組みが動いてると言えるんだけど、要は人間にやらせないで済むようにしたいなと。
これを実現するために考えたことが以下の通り。

  1. 普通にインターネットを使っているときに、能動的にアクションせずに受け身で情報が受けられる。これはブラウザ上にその情報が出てくるのが一番よいのではないか。PCの画面はワイド化傾向にあり、ブラウザを全画面表示にしているのであれば、余白スペースに表示するのがちょうどいいだろう。
  2. 受け身で情報を受けるとしても、なんでもかんでも押しつけられるのは困る。ユーザが受け取る情報を選択できる仕組みが必要。iGoogleガジェットのようにアプリを自分の好みに合わせて追加できるのがいいだろう。
  3. 出てくる情報によっては、時間やタイミングで表示されるものや、閲覧しているコンテンツに合わせて表示されるものや、常に表示していたいものなど、色々とある。アプリが表示するタイミングを制御できるようにするといいだろう。
  4. すでにユーザがインターネットを利用して色々な行動をしているのを支援してあげられるものがアプリとして実現できるのがよい。ショッピングやメディア・コンテンツ消費、あるいはコミュニケーションなど。

まだ、アプリが足りていなくて、上に書いた後半の部分は形になっていないものもあるけど、Jingooはユーザのインターネット行動をより豊かに便利にするために、ブラウザのインターフェースを変えていくというコンセプトでの実現を狙ったということ。
久々に、ずいぶんと長いエントリになったけど、ユーザのブラウジングというメタデータを使ったサービスとして、こんなことを実現したいんです。

*1:各メディアの情報受信点において、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供された情報の総量。

*2:各メディアの情報受信点において、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供されたもののうち、メディアとして消費が可能な情報の総量。